散歩と猫(2026/8)

盆が過ぎても猛暑は続き、いつまで続くのだろうと思われたが、台風と前線の影響で2週間ぶりに雨が降り、ようやく暑さが少し和らいで来た。晴れた日の昼間の陽射しはまだ夏の盛りを思わせるものの、朝晩は25℃前後まで下がり、過ごしやすくなった。

朝食を済ませ8時頃に散歩へ出かける。湿度が高いせいか、歩いているうちに汗が滲む。

8月初めの夏の盛り、橋の工事現場の前を通ったとき、東南アジア系のおばさんが交通整理の見張り役をしていた。炎天下の中、1日中立ちっぱなしで大変だろうと思いながら挨拶をして通り過ぎようとすると、向こうから声をかけて来た。

今どんな作業をしているとか、あと何日で終わる予定かなどを話をしてくれた。そしてふと、「この数日、よく蛇が出るんですよ」と言う。暑いので日陰を探して立っていたところ、すぐ後ろに大きな蛇がいて、思わず「ギャー」と大声で叫んでしまったそうだ。蛇もさぞかし驚いたことだろう。

最近は蛇をほとんど見かけない。ストックでコツコツ音を立てて歩いていると、蛇も用心して出てこないのだろうと、勝手に理屈をつけている。

猫のいる小屋に差し掛かった。最近はトラとシロクロ、そして子猫の3匹が、私が来るのを待っていたかのように小屋の中から外へ出て来る。時には、私の足音を聞いて、小屋の外に出て待っていることもある。

子猫はこの頃、ずいぶん人に慣れて来た。そっと背中を撫でようと手を伸ばすと、小さな前足でちょいとひっかくようなしぐさをする。子猫の爪は細く鋭く、ほんの少し触れただけでも細い傷がつく。

子猫は最近になってメザシを食べるようになった。ただ、半分ほど食べると食べきれないのか、ぽいと放り出してしまう。トラは無心に食べ続け、シロクロは食が細くあまり多くは食べない。

子猫はまだ親猫の半分ほどの大きさしかない。あと3か月もすれば冬が来る。それまでに体を大きくし、自分で餌が取れるようになるだろうかと心配になる。その年に生まれた子猫は、その年の冬という最初の試練を乗り切れるかどうかが試される。自然は情け容赦がない。

散歩を続け、両側を木々で覆われた道に入ると、蝉の声が一段と大きくなる。主にミンミンゼミやアブラゼミであるが、ツクツクボーシも聞こえるようになった。しばらくしてヒグラシの澄んだ鳴き声が聞こえて来た。なんと透き通ったきれいな声だろうと聞き入る。林の隅々までしみていくようだ。

最近、気のせいか蝉(昆虫)が怖いという大人(男女問わず)が増えているような気がする。バッタが怖いと言う人もいる。かまきりは、噛みつくこともあるので怖いと思うのは分かるが、蝉やバッタは何もしないのに、何故怖いと思うのだろう。

AI聞いてみた。確かに統計的に増えているそうな。動きが予測できないことや、突然大きいな音をたてること、触ると病気になるのではという不安から、蝉を見ると体に緊張が走るらしい。都市化が進み、自然と触れあう機会が減ったことが大きく影響しているようだ。

 

 

スケッチ(風景)

夏の最中、久しぶりにスケッチポイントを探して、山陰近畿自動車道を走っていると、2本の杉の木の間に道が通っている風景が目に留まった。自動車道を降りるとあたりは畑が広がりって、夏の日差しが降り注いでいた。外に出て描きたかったが、熱中症になりそうだったので、写真を撮って帰り、家で描く。

                                                                 F10 ホルベインクレスター水彩紙

写真を見て描くより、現場の風景を見ながら描くことの方が、絵に臨場感が出ると絵画教室の先生は、信念を持って教えている。

出来た絵にどれだけの違いがあるのか、私には良く判らないが、先生には分かるのだそうだ。本当だろうかと思うが素人には分からない世界があるのだろう。

写真でも、一度は実際に見た風景でないと気持ちがのらないのは確かだ。絵になりそうな風景をあちこち探し回った過程が必要なような気がする。

雲はもっと夏らしいもくもくした感じを出したかったが、あまり手を加えると遠近感が崩れると思いやめる。

「最先端物理学で挑む この世界は何次元なのか」を読んで見た

前回の「宇宙のはじまりと変遷」で、高次元について少し触れた。

・高次元は宇宙の始まりと共に誕生した。

・高次元はインフレーションによってコンパクト化(折りたたまれた)した。

・重力が他の力(電磁気力、強い力、弱い力)と比べ極端に弱いのは、重力子が高次元に漏れ出しているためだと考えられる。

そこで、高次元の概念がどこから生まれてきたのか、何故9次元(あるいは10次元、11次元)なのかという疑問が湧いて来た。

 

そこで、最新の高次元を扱った本『最先端物理学で挑む この世界は何次元なのか』(村田次郎監修、ニュートンプレス社、2025年)を読んで見た。

 

本の内容は5章で構成されている。

第1章、「次元」とは何か

1次元、2次元、3次元の基本的な説明。

第2章、「4次元空間」とはどのような世界か

第1章の延長として、4次元空間について説明。この段階では空間としての4次元であり、まだ時間は含まれない。

第3章、相対性理論と「4次元時空」

アインシュタインの相対性理論の説明。時間を含めた「4次元時空」という概念が説明してあった。

ここまでは、今まで聞いたことがある次元の説明であった。

第4章ー「高次元空間」が宇宙の謎を解く鍵

ここからが5次元以上の高次元空間の説明。

アインシュタイン以降、物理学者は自然界の4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)を統一した「超統一場理論」を探求して来た。

 

1921年、テオドール・カルツァ(ドイツ)が、重力と電磁気力を統合するには、次元をひとつ増やし、5次元以上の時空を仮定すればよいと提案。

1926年、オスカル・クライン(スウェーデン)がカルツァの理論を拡張し、4次元を超える次元は極めて小さなく空間に折りたたまれている(次元のコンパクト化)と考えた。「カルツァ=クライン理論」と呼ばれるが、最終的には理論の完成には至らなかった。

 

1960年代:シェルドン・グラショウ(米)が電磁気力と弱い力を統一した理論を発表。

その後、スティーブン・ワインバーグ(米)とアブドゥス・サラム(パキスタン)がグラショーの理論を発展させ、「電弱統一理論(ワインバーグ=サラム理論)」を構築した。

現在は、電弱統一理論に「強い力」を加えた「大統一理論」が提案されているが、「重力」はまだ統合されていない。重力は電磁気力の10^42分の1という極めて弱い力である。

 

1980年代、マイケル・B・グリーン(英)、ジョン・H・シュワルツ(米)は、重力子が高次元空間に広がるため重力が弱く見えるのではないかと考え、「超ひも理論(超弦理論)」を提唱した。

この理論では9次元空間が必要だと予言される。(但し、ひも理論そのものは現在も未完成。)

ひも理論以外にも複数の高次元モデルがあり、それぞれに次元の数が異なる。

 

超ひも理論について、

・素粒子(電子、光子等17種類)はひもの振動の仕方の違いにとして現れる。

・ひもは太さがゼロ(断面は点)、長さは10^ー35メートル程度とされる。(原子核は10^ー15メートル)

・ひもの形態は「開いたひも」と「閉じたひも(輪)」の2種類。

・1秒間に10^42回も振動し、先端は高速に近い速度で動いている。

・ひもはとてつもない張力(約10^40ニュートン)がかかっており、強く張られた弦のように高速で振動する。

・現実の素粒子とひもの振動状態とを矛盾なく対応させるためには、9次元の振動方向が必要になる.(数学モデルより導かれる)

・4次元空間以上は極めて小さくコンパクト化されている。

 

ユージェニオ・カラビ(米)らが、4~9次元の6次元空間を表す「カラビ=ヤウ空間」を考案。

大きさはひもと同程度とされる。(モデルにより若干異なる。)

6次元空間は独立して存在しているわけではなく、3次元空間全体に織り込まれるように広がっている。

 

重力が高次元に漏れ出す理由:

3次元空間を膜(ブレーン)と考える。(ブレーンの語源はmenbrane)

・開いたひも:両端が膜にくっついていて、3次元空間にくっついた状態でしか動けない。

・閉じたひも(輪):膜にくっついていないので、3次元空間に縛られないため、高次元空間へ自由に移動出来る。

⇒この閉じたひも(輪)が重力子を表すと考えられている。

そのため、重力波は3次元空間にとどまらず高次元に広がり、結果として私たちの世界では極めて弱い力として観測される。

 

現在は、この超ひも理論の他にもADD理論、RS理論、UED理論などが提案されている。

さらに、ひもではなく「膜」を基本とする10次元+時間1次元=11次元の「M理論」も提案されているが、いずれも検証段階であり、どれが残るか、まだ。分からない。

宇宙の初期、超ひも理論の立場では宇宙は9次元だったが、ある時点で3次元空間だけが急速に膨張(インフレーション)し、残り6次元は取り残されてコンパクト化したと考えられている。

 

第5章、「高次元空間は探し出せるか」

高次元空間を実際に検出する試みが紹介されている。

ヨーロッパ原子核研究機構(CERN)の大型加速器「LHC」を使い、粒子の衝突時に3次元では起り得ない現象を探している。

例えば、

①、高次元方向へ運動する粒子(カルツァ=クライン粒子)の痕跡を探す。

②、高次元へ抜けた重力子「KK重力子」(カルツァ=クライン粒子とは別物)の検出。

3次元での重力子は質量ゼロだが、高次元に抜ける重力子は陽子の数百~数千倍の質量(モデルにより異なる)を持つとされ検出できるのではないかと言われている。

いずれにしても、まだ痕跡すら見つかっていないので、今後どう展開するのか注視。

 

※9次元空間(M理論は10次元空間)に時間の1次元を加えて10次元(11次元)となる。

⇒「何故、時間は一方向しか進まないのか」という問題が気になってきた。

※個人的には、高次元が意識や魂の問題につながるのではないかと密かに期待している。

 

スペイン旅行(準備)

とうとうスペイン旅行を予約した。

最近、バルセロナのサグラダ・ファミリアの「イエスの塔」が完成したというニュースを良く耳にする。半ば冗談で妻に「行ってみるか」と振ってみたところ、意外や意外、乗り気になり、そこからとんとん拍子に話が進んで、本当に予約するまでになった。妻が不安だからというので、今回は搭乗員付きツアーとなった。

本当は隣国のリスボンやジブラルタル辺りにも足を延ばしてみたい気もするが、あまり欲張るとキリがない。まずは決まった所で行って見ることにした。

 

ーーー学生の頃(当時は横浜に住んでいた)、大学生協が斡旋していた「ヨーロッパ自由交歓旅行」という企画があった。往復の航空券だけを手配してくれ、あとはすべて自分で段取りをし、現地でも自分で決めてヨーロッパの都市を巡るというものだった。夏休みに約二週間ほどの一人旅に出た。

怖いが行って見たい気もする。人生に一度は!と決心して、思い切って踏み出した。まだ英語もほとんど話せない状態で、パリ、アムステルダム、ミラノ、ウィーンまで行き、再びアムステルダムを経由してパリに戻った。

都市間の移動は鉄道を使った。日本でトーマスクックの時刻表とユーレイルパスを購入し、それさえ持っていればヨーロッパの鉄道を自由に乗り降りできた。

夜行列車を使ってホテル代を節約し、ホテルはガイドブックに載っている住所を頼りに現地で探した。

パリまでは日本人の学生や若い社会人がいた。しかし現地に着くとカルチャーショックのあまり、一人になった時は、「もうどこにも行かず、このままパリにいて帰ろうか」とまで思った。しかし、一晩眠ると気持ちは不思議とかなり落ち着いていた。

航空会社は格安のパキスタン航空。北京→ラワルピンディ→カラチ(ここで大型機に乗り換え)→エジプト→フランクフルトと空港に降り立ち、丸一日にかけてようやくパリに到着した。

行って見れば多くの日本人に出会った。彼らのその後はどんな人生を歩んだのだろうかと、ふと考えることがある。

 

自分で手配する旅行は、ひとつひとつの手続きに手間も時間もかかるが、それが後になって懐かしい思い出となる。ツアーは今回が初めてだが、それなりに安気である事が何よりだ。

今回の出発は9月下旬、行き帰りの飛行機含めて8日間の旅。8日間の旅で、そのうち2日は機内で過ごすことになる。片道だけで18~19時間かかる。狭いところにいるのは苦にならないが、それにしてもくたびれそうだ。

関空から飛び、アムステルダム経由でマドリードへ(オランダ航空のため)。そこからセゴビア、トレド、コンスエグラ、グラナダ、バレンシア、タラゴナを巡り、最後にバルセロナから帰国する。

都市間の移動はすべてバスを使う。都市の街並みだけでなく車窓から眺めるスペインの田舎の風景も楽しみだ。

 

パスポートはすでに持っている。ビザは90日以内ならいらない。

今はほとんどクレジットカードで済むが、昔はトラベラーズチェックと言うものがあった。有楽町の東京銀行本店で購入した記憶がある。トラベラーチェックのサービスは2014年に終了したらしい。

WISEデビットカード(本社はイギリス)を作った。東京に支社があり、為替手数料がとにかく安いらしい。デビットカードは利用金額に上限があるので盗難時にも安心だ。

ただ、ネットで申し込むのは少し不安な気がした。パスポートや顔写真などの画像をネットで送らなければならない。入金はWISEの所定の口座に振り込む必要がある。国内で数回使ってみたが、問題なく利用できた。

保険はカード付帯のものもあるが、何かあった時に対応が早いと思い、旅行会社の保険もかけておいた。

後は、Wi-Fiルーターの契約ぐらいか?

 

どのルートを飛ぶのだろう。燃料サーチャージも高止まりのままだ。ウクライナ戦争は当分収まりそうにない。9月までにアメリカ・イラン戦争が何らかの和平合意に至ればよいが。

円安も気になる。先日の日米協調介入で157円まで下がったが、再び戻している。ユーロは184円前後で、あまり変わっていない。ここまで来たら多少のことは目をつぶるしかない。

 

 

 

スケッチ(ニホンヒキガエル)

散歩中、アスファルトの道にドカッとヒキガエルがいた。短距離競争の選手がスタートを待つような姿勢でじっとしている。逃げ出すのではないかと思い慌てて後姿の写真に撮ったが、まったく動かない。ゆっくりと前にまわり込み、正面からも写真を撮った。やっぱり生き物は顔が大事だ。

大きさは12~13センチとかなり大きい。ストックで腹のあたりを軽く突いてみたが、それでも動かない。諦めて散歩を続けた。1時間ほど歩いて戻る途中、居た場所を見たが、さすがにもう居なかった。

大きいのでウシガエルかと思ったら、これはニホンヒキガエルだそうだ。ウシガエルはアメリカ原産らしい。名前にニホンがついているのは親しみが湧く。

カエルの目は真ん中に丸い瞳孔があり、その周囲の黒い部分が横に広がって見える。カエルは夜行性で、地上を動く獲物を捕まえるために瞳孔が横長になるらしい。明るいところでは細く横線状に、暗いところでは楕円形になるという。

足の指は5本あるだろうと思い込み、あまり気にしたことが無かったが、描いて見ると、前足はどうも5本あるように見えない。

AIに聞いてみると、前足(手)の指は4本、後ろ足は5本で水かきがついているのだそうな。なんで前足だけ4本なのか、不思議に思った。

調べてみると、両生類の初期には前足も5本あったらしい。進化の過程で、遠くまでジャンプするために前足は「短く・頑丈で・素早く動かせる」方向へ変化し、軽量化のために4本になったという。この方が衝撃を吸収しやすく、着地が安定するらしい。

一方、後ろ足は水や地面を強く蹴るため、5本のまま面積を広くし、水かきが発達している。

鼻は口の上に、点のような小さな鼻孔がある。水中で水が入りにくいよう、小さくできている。

耳は目の後ろにあり、丸い円盤状の鼓膜があるらしいが、耳たぶがないから見分けにくい。

カエルは、石炭紀(3億6千年前~約3億年前)に海から上陸した初期の両生類に最も近い形態を保っているめ、現代に生き残る「古い系統の生き物」として尊敬に値する。

うまく描けるかと心配したが、思いのほかリアルに描けた。足や腹のぼつぼつした肌(顆粒腺)は気持ち悪いと言われたので、少し撫でて目立たないようにしておいた。

 

 

三朝温泉とバイオリン製作学校

たまには温泉でもーーーということで、家族で三朝温泉・渓泉閣(一泊食事付き)に出かけた。

夕方5時頃に到着し、食事の7時までの間に温泉に浸かることにした。まだ陽も高く、浴場には誰もいない。体を洗い、まずは内風呂へ。ところが、これが驚くほど熱く、数分しか入っていられない。次に露天風呂に行って見る。露天なので少しは温度が低いのだろうと思ったら、こちらも同じく熱い。岩の上にしばらく寝そべっていると、人が入って来たので、再び数分だけ浸かって上がることにした。

三朝温泉は日本三大ラジウム温泉のひとつ。泉源は世界的にも珍しい高温(最大76℃)で、ラジウムを高濃度に含む。そのラジウムが崩壊して気体のラドンが発生し、浴場の空気は高いラドン濃度を保っている。効能を維持するため、浴槽の温度は40℃~41℃と高めに設定されているらしい。「浸かってよし、飲んでよし、吸ってよし」の三拍子が揃った温泉と言われている。今回は利用しなかったが、川の中に露天風呂が作られている宿もある。

起源については源義朝(頼朝の父)の家来・大久保左馬之助が、射損ねて逃がした白い狼に導かれて発見したという伝説が残っている。また『出雲風土記』にも記されていると言われているそうだ。

入浴方法としては、5分以内で一度上がり休憩、再び入るーーーこれを繰り返し、合計20分以上は入らないようにと注意書きがあった。

効能は、血行改善、細胞活性化、喘息、神経痛、アトピー性皮膚炎など多岐にわたる。

理由は分かったが、それにしても熱い。ラドン濃度が多少下がっても、ゆっくり長く浸かれる少しぬるめの浴場があれば良いと思った。秋から冬、春先ならちょうど良いのかもしれない。

風呂から上がったあとも汗がしばらく止まらないほど体が温まった。

夕食の懐石料理はまずまず。

その後は外出もせず、世界バレーの予選を見て就寝した。

翌朝の朝食は茶碗三杯も食べてしまい、昼食抜きとなった。

旅館を出て川沿いを車で走り、数枚写真を撮ってからバイオリン美術館へ向かう。美術館の手前に、ラジウムを発見したキュリー夫人の銅像が立つキュリー広場がある。

         


バイオリン美術館では、日本でバイオリンが作られ始めた歴史や、バイオリンの製作工程ごとの部品や道具が展示されていた。二階にホールがあり、時折コンサートも開かれているという。希望すればバイオリン演奏の実技指導も受けられるらしい。

美術館には「バイオリン製作学校」が併設されている。三朝町出身のバイオリン職人・岡野壮人氏が2011年に開校したとある。校内を見学させてもらった。      

部屋には作業台が並び、木製のバイオリン部品が所狭しと置かれ、奥では生徒が一人作業をしていた。緑色のペンキが塗られた窓枠の外には美しい木々の緑が広がっていた。

こうした落ち着いた環境で、無心にバイオリンを作るーーーこういう仕事もなかなか良いなと思う。隣の部屋には製作されたバイオリンが天井からずらりと吊り下げられていた。岡野氏は指導の傍らバイオリンの製作を行っている(あるいは製作の傍ら指導をしている)。世界を相手にすれば、需要は十分にありそうだ。

 

スケッチ(赤波川渓谷)

暑い日が続く。なかなか外に出かけて描く気にもならないので、少し前に行ったことのある、甌穴群で有名な赤波川上流を訪れた時の写真を引っ張り出して描くことにした。

梅雨が明けるかどうかと言う微妙な時期で、数日前に降った雨の影響により、肝心な甌穴は水に沈んで、全く見えなかった。

その代わりに、現場に近づくに従って、轟音と共に、暗い奥から勢いよく流れ落ちる水が目に入った。

落差を駆け下りた水が、岩にぶつかって白く浮かび上がり、細かな飛沫となって飛び散り、再び力強く流れ下っている。その波のうねりと轟音に、圧倒された。

                    F10 ホルベインクレスター水彩紙